2020年3月4日に出版され、その後、継続的に更新されている。最終更新は2024年10月14日(変更点は以下に詳述)、この特集号に収録されているすべてのレビューは無料で閲覧できます。
この特集号はCOVID-19特集の1つです。英語で出版されており、簡体字中国語、繁体字中国語、クロアチア語、チェコ語、ドイツ語、ペルシャ語、フランス語、日本語、マレーシア語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語でも読むことができる。
この特集号は、COVID-19のパンデミックに対応して作成され、定期的に更新されています。感染予防に最も直接関連するシステマティックレビューへ、すぐにアクセスできることを目的としています。これは、WHO中間指針に関連するレビューだけでなく、3つのコクランネットワークから潜在的に関連するレビューが含まれています。コクラン公衆衛生および医療システム;コクラン筋骨格系や口腔、皮膚、感覚器;コクラン急性期および救急医療や、影響を受けた地域のコクラングループの知識も提供しています。この特別号に掲載している多くのレビューは、コクラン臨床解答(CCAs)に関連しており、リンクが提供されています。
病原体の性質や伝播様式がCOVID-19について現在知られているものと異なることから、これらのレビューでまとめられたエビデンスの適用は限られている可能性があります。本特集号に掲載されているレビューはエビデンスをまとめたものであり、レビューされた介入が有効な予防策であることを意味するものではないことにご注意ください。
2024年10月14日、コクランレビュー「SARS-CoV-2感染の診断におけるRT-PCRに代わる検査室ベースの分子検査法」が更新されました。
鑑別と診断
SARS-CoV-2感染の診断におけるRT-PCRに代わる検査室ベースの分子検査法
SARS-CoV-2感染者の診断は、COVID-19パンデミックの管理において重要な役割を果たし、COVID-19の長期的な管理への移行においても引き続き優先事項となっている。SARS-CoV-2が存在するのに発見できなかった場合、感染が拡大するリスクがあり、予防の機会を逃すことになる。現在、SARS-CoV-2感染を確認するための検査は、主にリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)に頼っている。これには専門の機器が必要で、結果が出るまでに24時間かかることもある。RT-PCRに代わる診断手段は、十分な精度があれば、SARS-CoV-2感染者のタイムリーな同定、検査へのアクセス、資源の活用のために利用できる診断手段の幅を広げ、好影響をもたらす可能性がある。
COVID-19重症度と死亡率の独立した危険因子としての肥満
BMIが非常に高い人(40kg/m2以上)は、BMIが低い人よりもCOVID-19による転帰が悪くなるリスクが高い可能性がある。このレビューでは、独立した予後因子としての肥満を評価し、COVID-19と確定された成人の死亡率、人工呼吸の必要性、入院、集中治療室への入室、重症疾患または肺炎に対する、非常に高いBMIの影響を評価することを目的とした。関連するコクラン臨床回答:成人のCOVID-19患者の場合、肥満は転帰に影響するか?
プライマリ・ケアまたは病院の外来で診察を受けた患者がCOVID-19に感染しているかどうかを判断するための徴候と症状
COVID-19感染症は非常に多様で、症状のない感染から、肺炎や生命を脅かす結果に至るまで、さまざまである。発熱や咳、嗅覚(アノスミア)や味覚(エイジスミア)などの症状があれば、病気の有無を早期に判断することができる。このような情報は、COVID-19の疾患を除外するため、あるいはCOVID-19の診断検査を受ける必要がある人を特定するために利用される可能性がある。このレビューは、2020年の初版の出版から2回のアップデートを行い、プライマリケアや、救急科やCOVID-19専門クリニックなどの病院の外来に来院した人が、COVID-19を持っているかどうかを判断するための徴候や症状の診断精度を評価している。関連するコクラン臨床回答:世界保健機関(WHO)が指定したCOVID-19の症状と関連するCOVID-19の診断精度は?
SARS-CoV-2の現在および過去の感染を識別するための抗体検査
この更新されたレビューでは、検査室での検査と迅速検査キット両方でのCOVID-19抗体検査の精度に関するエビデンスを要約している。COVID-19のパンデミックに伴う診断上の課題から、SARS-CoV-2感染を検出するための診断検査法が急速に開発された。SARS-CoV-2に対する抗体を検出する血清学的検査は、過去の感染の検出を可能にし、以前の診断検査では見逃されたSARS-CoV-2感染症例を発見する可能性がある。SARS-CoV-2感染の血清学的検査の診断精度を理解することは、効果的な診断および管理フローの開発を可能にし、公衆衛生管理の決定やSARS-CoV-2疫学の理解に役立つであろう。関連するコクラン臨床回答:現在のSARS-CoV-2感染を検出するための免疫グロブリンG(IgG)およびIgM抗体検査の精度はどの程度か、過去のSARS-CoV-2感染を検出するための免疫グロブリンG(IgG)およびIgM抗体検査の精度はどの程度か。
SARS-CoV-2感染症の診断のための迅速なポイントオブケア(ベッドサイド検査:臨床現場ですぐに行われる)抗原検査
SARS-CoV-2感染の正確な迅速診断テストは、COVID-19のパンデミック管理に役立つツールであると考えられている。迅速抗原検査を用いて現在の感染を検出する検査戦略は、検査へのアクセスを向上させ、感染の検出を迅速化し、感染を減らすための臨床および公衆衛生上の意思決定に役立つ可能性がある。本レビューは、2020年の初版コクラン・レビューの2回目の更新である。このレビューでは、迅速抗原検査のみに焦点を当てている。関連するコクラン臨床回答:SARS-CoV-2感染症の診断のための現場で行われる抗原迅速検査の精度は?
SARS-CoV-2感染者の死亡率および重症・重篤な新型コロナウイルス感染症への悪化を予測するためのルーチン検査項目の精度
状態が悪化する可能性のあるCOVID-19病患者を特定し、集中治療を受けるべきか、それともより軽度の治療や外来治療で対応できるかを評価することが重要である。このレビューでは、SARS-CoV-2感染と診断され、中等度または軽度のCOVID-19を有する患者を対象に、死亡または重度または重症のCOVID-19への悪化の可能性を予測するための、ルーチンの血液検査の有効性を評価する。
ワクチン接種
COVID-19ワクチンの有効性と安全性
SARS-CoV-2ウイルス感染とそれに続くCOVID-19疾患を予防するために、さまざまな形のワクチンが開発されている。いくつかのワクチンは世界的に広く使用されている。この新しいレビューの目的は、初回接種、追加接種としての、SARS-CoV-2に対するCOVID-19ワクチンの有効性と安全性を評価することである。関連するコクラン臨床回答:COVID-19予防のためのRNAワクチンの有益性と危険性は?、COVID-19予防のための不活化ウイルスワクチンの有益性と危険性は?、COVID-19予防のための非複製ウイルスベクターワクチンの有益性と危険性は?、COVID-19予防のためのタンパク質サブユニットワクチンの有益性と危険性は?
免疫機能が低下しているリスクが高い人におけるCOVID-19ワクチン接種後の免疫力:スコーピング・レビュー
本スコーピングレビューでは,COVID-19ワクチン接種後の免疫反応と長期の臨床転帰に関する既存の文献をまとめている。いくつかのワクチンは、重症のCOVID-19に対する予防効果が高いことが証明されているが、免疫反応が低下している患者は、ワクチン接種に対する免疫反応が弱く、安定した効果が得られない。強い免疫反応が必ずしも臨床的に効果があることにつながらない可能性があるため、免疫反応が低下している患者におけるワクチン接種の投与法の変更やワクチンの種類に関するエビデンスを統合し、健康上の決定につなげることが重要である。関連するコクラン臨床回答:免疫反応が低下するリスクが高い人へのSARS-CoV-2に対するワクチンについて、どのようなエビデンスがあるのでしょうか?
COVID-19ワクチンの接種を促進するための介入:スコーピングレビュー
このスコーピングレビューでは、COVID-19ワクチンの接種を促進し、COVID-19ワクチンへのためらいを減らすことを目的とした介入策をマッピングしている。ワクチン接種をためらうことは、多くの国で全国的なワクチン接種の目標に対する深刻な脅威であり、人々の健康に対する実質的な脅威となっている。ワクチンは、治療法がほとんどなく、障害や死亡に至ることもある重症のCOVID-19の予防に有効である。COVID-19のワクチン接種が広く行われることで、まだワクチン接種を受けることができない人たちを守ることができるかもしれない。また、COVID-19の拡散が制限されれば、SARS-CoV-2の新しい変異やワクチン耐性変異が発生しにくくなる可能性がある。現在では、さまざまなワクチンが多くの場面で利用できるようになっている。関連するコクラン臨床回答:COVID-19ワクチンの接種を増やす、あるいはCOVID-19ワクチンへのためらいを減らすための介入について、どのようなエビデンスがあるのでしょうか?
ワクチン接種について50歳以上の人とコミュニケーションをとる際の医療従事者の認識と経験:質的エビデンスの統合
感染症は、高齢者の病気や死亡の主な原因となっている。ワクチンは、季節性インフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹、COVID-19などの感染症を予防する。しかし、高齢者のワクチン接種率は、環境やグループによって異なる。高齢者がワクチン接種を決断する際には、医療従事者とのコミュニケーションが重要な役割を果たす。このレビューでは、高齢者とのワクチン接種に関するコミュニケーションについての医療従事者の認識と経験を調べている。関連するコクラン臨床回答:高齢者(50歳以上)とのワクチン接種に関するコミュニケーションにおいて、医療従事者(HCW)はどのような認識と経験を持っているか?
子どもの定期予防接種に関する親およびインフォーマルな養育者(無償で身近な世話をする人)の考え方と行動に影響を与える要因:質的エビデンスの統合
子どもの予防接種は、重篤な病気や死亡を防ぐ最も効果的な方法の一つである。しかし、世界中で、多くの子どもたちが推奨されるすべての予防接種を受けていないのが現状であり、それにはいくつかの理由が考えられる。ワクチンが入手できなかったり、医療サービスの質が低い、医療施設から遠い、お金がないなどの理由で、保護者が予防接種サービスを利用することが困難な場合もある。保護者によっては、利用可能な予防接種や予防接種サービスを受け入れない場合もある。子どもの予防接種に関する保護者の考え方や行動に何が影響しているのか、また、なぜ子どもへの予防接種を受け入れない親がいるのかについての理解はまだ限定的である。この質的エビデンススの統合は、(1)子供の定期的なワクチン接種に関する親とインフォーマルな養護者の見解と実践、および子供の定期的なワクチン接種の受け入れ、躊躇、または拒否に影響を与える要因を探索すること、(2)異なる要因が何をどのように子供の定期的なワクチン接種の親の受け入れを低下させるかについての概念的な理解を深めること、(3)このレビューの結果が、関連するコクランレビューの介入の有効性に対する理解をどのように深めることができるかを探ることを目的としている。関連するコクラン臨床回答:子どもの定期予防接種に関する親やインフォーマルな養育者の考え方や行動に影響を与える要因は何か?
医療現場での感染対策
感染性の高い疾患における、汚染された体液への曝露による感染を予防するための医療者向け個人防護具
エボラや重症急性呼吸器症候群(SARS)、コロナウイルス(COVID-19)のような感染性の高い感染症の流行において、医療従事者は、患者の病原微生物に汚染された体液と接触するため、一般集団よりも高い感染のリスクにさらされている。個人用保護具(PPE)は、露出した身体部位を覆うことによりリスクを低減できる。このレビューでは、どのタイプの全身PPEが、また、どのPPE着脱方法が医療従事者の汚染または感染の最小のリスクとなるか、およびプロトコルを遵守したPPEの着脱方法を行う医療従事者を増やすための訓練方法を評価する。関連するコクラン臨床回答:どのタイプの個人用保護具(PPE)を使用し、医療従事者によるPPEの使用を増やすための介入が、高度な感染症の蔓延を減らすのに役立つのか?
感染症予防のための歯科治療中に発生する汚染エアロゾルの低減に向けた取り組み
多くの歯科処置では、様々な病原性微生物を宿すエアロゾル(飛沫、飛沫核、飛沫)が発生し、歯科医師と患者の間で感染が拡大する危険性がある。COVID-19のパンデミックにより、このリスクへの懸念が高まっている。このレビューでは、エアロゾルの生成を最小限に抑え、エアロゾル中の汚染を低減または中和するために、歯科治療手順中に使用される方法の有効性を評価している。関連するコクラン臨床回答:歯科治療中の汚染されたエアロゾルの低減について、大量排気(HVE)は、HVEなしまたは代替歯科用吸引と比較してどうか?歯科治療中の汚染されたエアロゾルの低減について、抗菌性クーラントは、互いに、またはプラセボと比較してどうか?
医療従事者の呼吸器感染症に対する感染予防・管理(IPC)ガイドラインへのアドヒアランスに対する障害要因と促進要因:エビデンスの迅速な質的統合
COVID-19パンデミックのように呼吸器感染症が蔓延すると、医療従事者による手順の利用がより重要になる。これらのガイドラインの戦略には、マスク、フェイスシールド、手袋、ガウンなどの個人用保護具の使用、呼吸器感染症の患者を他の患者と隔離すること、およびより厳格な清掃ルーチンが含まれている。これらの戦略は、実際に遵守することは困難で時間がかかる場合がある。この迅速な質的レビューでは、医療従事者が呼吸器感染症に関するIPCガイドラインを遵守する上での阻害要因と促進要因を明らかにしている。関連するコクラン臨床回答:医療従事者の呼吸器感染症に対する感染予防・管理(IPC)ガイドラインへのアドヒアランスに対する阻害要因と促進要因:エビデンスの迅速な質的統合
患者ケアにおける手指衛生コンプライアンスの向上を目的とした介入
医療関連感染は罹患率と死亡率の主な原因である。手指衛生は有効な予防手段と見なされている。このレビューは手指衛生の勧告への遵守を改善するための短期的及び長期的な戦略の成功を評価し、手指衛生遵守の増加が医療関連感染の割合を減らすことができるかどうかを決定する。関連するコクラン臨床回答:医療従事者の手指衛生を改善するためのマルチモーダルキャンペーンの効果は何か? と 医療従事者の手指衛生にパフォーマンスフィードバック、教育、嗅覚/視覚的手がかりが及ぼす効果は何か?
「標準予防策」 とは、医療従事者が病院や老人ホームなどの医療施設で細菌の拡散を減らすために行う、個人用保護具の使用や針の安全な取り扱いの遵守などの行動の指針である。このレビューは、患者ケアにおける標準予防策のアドヒアランスを改善するために医療従事者を対象とした介入の有効性を評価する。関連するコクラン臨床回答:医療従事者教育は、感染制御のためのスタンダードプリコーション(標準感染予防策)のアドヒアランス(遵守)を向上させるか?
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA)は罹患率、死亡率及び医療費を増加させる一般的な院内感染の原因となる病原微生物である。その感染制御は世界中の多くの病院で未解決の問題であり続けている。このレビューでは、MRSAを保菌した、あるいはMRSAに感染した入院患者、あるいは患者周辺の環境に直接接触が予想される場合の手袋、ガウンまたはマスクの着用の効果を評価する。関連するコクラン臨床回答:手袋、ガウン、マスクは病院でのMRSAの感染を減らすか?
新生児の罹患率や死亡率を下げる目的での、新生児室のスタッフと訪問者のガウン着用
ガウンは新生児室および新生児集中治療室で広く使用されている。ガウンは院内感染の拡大を防ぎ、スタッフと訪問者に、乳児と接触する前に手を洗うことを思い出させるのに役立つと考えられる。このレビューでは、新生児室における乳児の感染と死亡の発生率に与える付き添い者と訪問者のガウンの着用の効果を評価する。関連するコクラン臨床回答:新生児室のスタッフと訪問者のガウン着用は、新生児の罹患率や死亡率を下げるか?
新生児のカフ付き気管内チューブとカフなし気管内チューブの比較
気管挿管は、新生児にしばしば行われる処置である。気管内チューブ(ETT)の中には、気道にETTを挿入した後にカフを膨らませて、漏れや誤嚥を抑えることができるものがある。膨張したカフ付きETTを使用することの潜在的な利点は、COVID-19などの感染症の水平感染を引き起こす可能性のあるエアロゾル化した粒子への医療従事者の曝露が少ないことだろう。新生児の気道解剖の理解が進み、麻酔科医がカフ付きETTを広く使用するようになったことで、新生児におけるカフ付きチューブの使用は増加しています。しかし、新生児におけるカフ付きETTの使用をめぐるケアの多くの面で、ばらつきや不明瞭な点がある。このレビューでは、新生児にカフ付きチューブを使用することに対する賛否両方のエビデンスを評価する。関連するコクラン臨床回答:人工呼吸を必要とする新生児や小児に対して、カフ付きとカフなしの気管チューブを比較した場合、どのような違いがあるか?
呼吸器系への危険性は職場でよくみられる。危険性や曝露に応じて、健康への影響は、感染性のあるものや、呼吸器への刺激症状から慢性肺状態までの急性の影響、化学物質または毒素の曝露に由来する癌でさえ含む軽度なものから生命を脅かす疾患まで様々あるだろう。呼吸用保護具(RPE)の使用は、多くの職場で重要な予防手段である。RPEは、適切に装着され、安全に取り外され、定期的に交換または保守される場合にのみ保護機能を果たす。労働者へのRPEの使用を促進するために、使用者や組織あるいは個々の労働者に向けられた行動介入の有効性は、依然として重要な未解決の問題である。このレビューでは、介入なし、または代替介入と比較した場合の、労働者における観察されたまたは自己報告されたRPE使用に与える、組織または個々の労働者のどちらかに対する行動介入の影響を評価した。関連するコクラン臨床回答:教育的介入により、職場での呼吸器保護具(RPE)の使用は改善されるか?
院内感染は、患者治療にいて頻繁生じる有害事象である。集中治療室での入院期間が長くなったり、合併症を併発したり、永久的な障害や死に至ることもある。感染症の有病率は集中治療室で特に高く、重症患者は免疫抑制が起こっており、侵襲的なモニタリングの対象となる。クロルヘキシジンは低価格の製品であり、殺菌剤および消毒剤として広く使用されており、細菌を殺し、院内感染の拡大を減らす目的で重症患者の入浴に使用される。このレビューでは、重症患者の院内感染数に対するクロルヘキシジン入浴の効果を評価する。関連するコクラン臨床回答:集中治療室(ICU)入院者の院内感染予防のためのクロルヘキシジン入浴の効果は?
COVID-19感染の疑いがある、または確認された患者を治療する際に医療従事者を保護するための抗菌性うがい薬および点鼻薬の使用
COVID-19感染症は、患者やその感染性により、患者を治療する医療従事者に深刻なリスクをもたらす。医療従事者の口および鼻に抗菌液を灌注した場合、これにより、感染した患者から医療従事者に飛沫感染または直接接触によって活性感染が伝播するリスクを低減させることができる可能性がある。しかしながら、このような抗菌液の使用は、溶液自体の毒性、または口または鼻の天然微生物叢の変化に関連した害を伴う可能性がある。これらの考えられる副作用を理解することは、医療従事者が健康状態が良好である場合には特に重要である。COVID-19感染の疑いがある、または確認された患者を治療する際に医療従事者を保護するための抗菌性うがい薬および点鼻薬
COVID-19感染の疑いがある、または確認された患者を治療する際に医療従事者を保護するための抗菌性うがい薬および点鼻薬の使用
COVID-19感染症は、患者やその感染性により、患者を治療する医療従事者に深刻なリスクをもたらす。感染症の患者の口や鼻が抗菌液で灌流されている場合、それらの部位に存在するコロナウイルスを死滅させることで、患者を助けることができるかもしれない。また、飛沫感染や直接接触によって活性感染が医療従事者に伝播するリスクを低減させることも考えられる。しかしながら、このような抗菌液の使用は、溶液自体の毒性、または口または鼻の天然微生物叢の変化に関連した害を伴う可能性がある。このレビューでは、COVID-19感染が疑われる患者または確認された患者に投与された抗菌性うがい薬および点鼻薬が、患者および患者を介護する医療従事者の双方にとってどのような利点と害があるのかを評価している。
COVID-19感染の疑いがない、または確認されていない患者に対してエアロゾル発生手技(AGP)を実施する際に医療従事者を保護するための抗菌性うがい薬および点鼻薬の使用
COVID-19感染症は、患者やその感染性により、患者を治療する医療従事者に深刻なリスクをもたらす。患者がエアロゾル発生手技(AGP)を受けている場合、感染のリスクが高くなる。COVID-19感染者すべてに症状があるわけではなく、感染症の疑いがあるわけでもない。COVID-19感染が知られていない、またはその疑いがある患者がエアロゾル発生手技(AGP)を受ける場合、治療を行う医療従事者のリスクを最小限に抑えることが賢明であろう。このレビューでは、COVID-19感染が疑われていないまたは確認されていない患者に、エアロゾル発生手技を実施する際に、患者および医療従事者のどちらか、または双方に投与された抗菌性うがい薬および点鼻薬がどのような有益性と危険性があるのかを評価している。
地域における感染症対策
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防と制御のための物理的距離の取り方を促進・支援するコミュニケーション
このレビューは、COVID-19の予防と制御のための物理的距離を置く手段の受容、理解、遵守を促進するための、適切で実行可能かつ効果的なコミュニケーションアプローチを特定するために、2020年に実施された迅速レビューの更新版である。迅速レビューが発表された当時は、感染や治療、将来のワクチン接種についてほとんど知られておらず、物理的な距離を置く対策(隔離、検疫、接触者の追跡、密集の回避、職場や学校での対策)が世界的な公衆衛生対策の要であった。
この更新されたレビューには、効果的なパンデミックにおける公衆衛生的なコミュニケーションについて我々の知見を広げる、より新しいエビデンスが含まれている。これには、パンデミック感染の波への対応力を維持するために必要な経時的変化、パンデミックによる地域社会内の集団の(不)平等性と多様なニーズについての考察が含まれ、公衆衛生的な対応に不可欠な効果的なコミュニケーションの重要な役割を改めて強調する。
SARS-CoV-2中和モノクローナル抗体によるCOVID-19の予防
モノクローナル抗体(mAbs)は、感染した宿主のB細胞から実験的に産生される分子で、ある特定のタンパク質を標的とするように設計されている。これらは、コロナウイルス感染症2019(COVID-19)に感染しないための予防薬として研究されており、予防接種に反応しない、あるいは反応が乏しい人々に適している。このレビューでは、COVID-19の原因であるSARS-CoV-2の感染予防のための、モノクローナル抗体の断片を含むSARS-CoV-2の中和抗体の効果を評価し、エビデンスの最新性を維持するためにリビング系統的レビューの方法を用いている。 関連するコクラン臨床回答: ウイルス曝露前のSARS-CoV-2中和モノクローナル抗体はCOVID-19の予防に役立つか? そして ウイルス曝露後のSARS-CoV-2中和モノクローナル抗体はCOVID-19の予防に役立つか?
SARS-CoV-2感染予防のために長期療養施設で実施された非薬物的対策とその結果:迅速レビュー
長期療養施設は、新型コロナウイルスSARS-CoV-2によるCOVID-19の発生リスクが特に高く、これらの施設に居住する住民の罹患率や死亡率の負担は非常に大きい。このレビューでは、居住者、スタッフ、訪問者の間でのSARS-CoV-2感染の伝播を防止または低減するために、長期療養施設で実施された非薬物的対策の効果を評価している. 関連するコクラン臨床回答: 介護施設(長期療養施設)におけるCOVID-19の侵入規制対策の効果は?;介護施設(長期療養施設)におけるCOVID-19の接触規制および感染低減対策の効果は?;介護施設(長期療養施設)におけるCOVID-19の発生制御対策の効果は?;介護施設(長期療養施設)におけるCOVID-19の発生動向調査の効果は?
COVID-19のパンデミックを封じ込めるための海外渡航関連の規制措置:迅速レビュー
2019年の末、中国の武漢でコロナウイルス感染症(COVID-19)の最初の症例が報告され、その後、世界的に広がった。多くの国が国境閉鎖、渡航制限、出入国審査、旅行者の検疫など、国際的な旅行に関連した管理措置を実施している。この迅速レビューでは、COVID-19パンデミック時の海外渡航関連対策が感染症の伝播およびスクリーニング関連アウトカムに及ぼす影響を評価している。 関連するコクラン臨床回答: COVID-19の感染拡大に対する海外渡航規制の影響は? 国境を越える旅行者を検疫すること(スクリーニングを行う場合と行わない場合)は、COVID-19の拡散にどのような影響を与えるか? また、国境での出入国審査がCOVID-19の拡散にどのような影響を与えるか?
SARS-CoV-2感染症のユニバーサルスクリーニング:迅速レビュー
SARS-CoV-2に感染した人のほとんどは、特異的でない症状を伴う軽症だが、約5%の人が呼吸不全、敗血症性ショック、多臓器不全などを伴う重症化をする。未知の割合の感染者は、感染しているにもかかわらずCOVID-19の症状を経験しない、つまり無症状のままである。この病気を発症した人は、彼らが感染している間に前症状の期間を過ぎる。SARS-CoV-2に感染している人を臨床症状を呈する前に検出するためのユニバーサルスクリーニングは、病気の広がりを封じ込めるための重要な対策となり得る。この迅速レビューでは、SARS-CoV-2感染症のユニバーサルスクリーニングが、スクリーニングなしと比較して有効であること、およびCOVID-19の症状で臨床検査に来院していない人のユニバーサルスクリーニングの精度を評価することを目的としている。 関連するコクラン臨床回答: 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染症の診断のための渡航歴や既知の感染者への曝露に関する症状スクリーニングや情報の引き出しの精度は?
COVID‐19を制御するために行う、単独または他の公衆衛生対策と組み合わせた隔離:迅速レビュー
コロナウイルス(COVID-19)は、世界中に急速に広がっている新しいウイルスである。COVID-19は、密接している人同士、あるいは咳やくしゃみをしている人同士の間で簡単に広がる。感染者の多くは、軽いインフルエンザのような症状に悩まされるが、中には重症化して亡くなる人もいる。この迅速レビューは、COVID-19の確認された症例に接触した個人、流行が宣言された国から旅行した人、または病気の伝搬が多い地域に住んでいる個人の隔離 (単独または他の措置と組み合わせて) を評価している。 関連するコクラン臨床回答: COVID-19が確認された人々の濃厚接触者に対する隔離の効果は? COVID-19の発生が宣言された国からの渡航者に対する隔離の効果は? COVID-19の拡散を抑制するための隔離とその他の対策の組み合わせの効果は?
SARS-CoV-2の感染を減らすことは世界的な優先事項である。接触者追跡は、感染者を隔離し、さらなる感染を減らすために、感染者と最近接触した人を特定する。デジタル技術を導入することで、マニュアルでの接触者追跡を促進することができる。デジタルツールは3つの分野にグループ化されている:1)アウトブレイク対応、2)接触追跡、3)症状追跡。この迅速レビューでは、感染症の陽性例の連絡先を特定するためのパーソナル・デジタル接触者追跡・ソリューションの利点、害、および受容性を評価している。 関連するコクラン臨床回答: 伝染病の流行期には、二次感染者や親密な接触者を特定するために、デジタル接触追跡技術はどの程度効果的か?
呼吸器系ウイルスの拡散を断ち切るあるいは減少させるための物理的介入
インフルエンザや重症急性呼吸器症候群(SARS)のような急性呼吸器感染症の原因となるウイルスの流行やパンデミックは世界的な脅威となっている。抗ウイルス薬やワクチン接種では、感染の拡大を防ぐには不十分である。このレビューでは、呼吸器系ウイルスの拡散を阻止または低減するための物理的介入の有効性を評価する。 関連するコクラン臨床回答: 物理的介入は呼吸器系ウイルスの蔓延を抑えるのに役立つか?
ウイルスや細菌感染の拡大を抑えるための灰を使った手洗い:迅速レビュー
感染症の蔓延や感染を抑制するためには、手洗いが重要です。ストーブや火の残滓である灰は、石けんが普及していない環境下で手を洗うために使用されている。このレビューでは、ウイルスや細菌感染の広がりを抑制するために、石けんなどを使った手洗いと比較して、灰を使った手洗いのメリットと害を評価しています。 関連するコクラン臨床回答: 灰を使った手洗いはウイルスや細菌感染の拡大を抑えるか?
高齢者の介護施設におけるメチシリン耐性 黄色ブドウ球菌 (MRSA)の感染制御戦略
老人介護施設は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の獲得と拡散を促進する環境をもち、居住者はコロニー形成と感染のリスクが増加する。MRSA感染の予防と制御には、感染予防と感染制御の戦略が重要であることが認識されている。このレビューは、高齢者のための老人ホームにおけるMRSAの伝播を予防するための感染予防と感染制御の戦略の効果を明らかにすることを目的とする。 関連するコクラン臨床回答: 介護施設における教育介入は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感染防止に役立つか?
COVID-19パンデミックを封じ込めるために学校現場で実施された対策:スコープピングレビュー
SARS-CoV-2の感染拡大とCOVID-19の影響を受けて、国や地方自治体は、ウイルスとそれに伴うk感染症の拡大を抑制するために様々な対策を実施した。これらの対策の影響を大きく受ける設定の一つに、学校の設定があります。2020年4月中旬までに192カ国が学校の閉鎖を実施し、世界の生徒数の9割以上に影響が出ている。学校閉鎖の悪影響を考慮して、世界の多くの国では、当初の閉鎖から数ヶ月後に学校を再開している。本レビューでは、SARS-CoV-2/COVID-19パンデミックの間に学校を再開したり、学校を開放したり、あるいはその両方を維持するために学校環境で実施された対策の影響を評価したエビデンスを特定し、包括的にマップ化している。 関連するコクラン臨床回答: COVID-19のパンデミック時に学校を再開したり、学校の開校を維持したりするために学校環境で実施された対策について、どのようなエビデンスがあるか?
COVID-19のパンデミックを抑制するために学校現場で実施された対策
このレビューでは、COVID-19パンデミック時に学校を安全に開校させるために、初等・中等教育の現場で実施された対策の有効性に関するエビデンスの最新評価を提供する。このレビューでは、学校やより広い地域社会での接触を減らし、接触をより安全にするために実施されたさまざまな対策、および監視と対応策に焦点を当てている。これらの対策が疾病感染に与える影響を調査し、対策の予期せぬ結果と、対策がどのように実施されたかを考察している。
COIVD-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックを抑制するために学校現場で実施された対策の予期せぬ影響:スコーピングレビュー
ほとんどの国では、SARS-CoV-2の蔓延を食い止める一方で、学校を再開または開校させるために、学校内での対策を実施している。このような措置の実施、適用、中止について十分な情報に基づいた意思決定を行うためには、SARS-CoV-2の感染に対する有効性を評価するだけでなく、その予期せぬ結果を評価することも重要である。このレビューは、SARS-CoV-2の感染拡大を予防・制御するための学校を基盤とした対策が、意図せざる健康および社会的結果をもたらすことを示すエビデンスを包括的に特定し、全体図を描いたものである。SARS-CoV-2感染に対する効果だけでなく、より広範なシステムレベルにおける学校での対策に関するエビデンスを統合することで、これらの対策の有効性に関する既存のコクラン・レビューを補完するために作成された。 関連するコクラン臨床回答: COVID-19パンデミックを封じ込めるために学校現場で実施された対策が、意図せざる健康上・社会的影響をもたらすことについて、どのようなエビデンスがあるのか?
医療現場以外でのSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染リスクを軽減するための職場での介入
パンデミックの期間中、職場におけるSARS-CoV-2への労働者の曝露を防止または低減しようとする様々な介入が実施されてきた。これらの介入がCOVID-19感染率,欠勤率,COVID-19関連死亡率,有害事象に及ぼす影響を評価した. 関連するコクラン臨床回答: 感染者との接触後、医療現場以外で働く成人労働者について、検査に基づく出勤規制と標準的な10日間の自己隔離を比較すると、SARS-CoV-2感染率はどのようになるのか?
謝辞
この特別コレクションは、Lisa Bero(Senior Editor, Public Health and Health Systems)が、Toby Lasserson(Deputy Editor in Chief)、Newton Opiyo(Associate Editor)、Robin Featherstone(Information Specialist)、Monaz Mehta(Editor)と協力して開発したものです。公衆衛生および医療システムネットワーク、コクランChinaネットワーク、コクラン創傷、およびコクラン急性呼吸器感染症グループも、この特集号に掲載するためのレビューの選択について意見を提供しました。
翻訳
この特集号の日本語版は、増澤祐子(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野/東京医療保健大学)が翻訳し、井村春樹(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康情報学分野/尼崎医療生協病院)が監訳した。(2020年2月13日翻訳、2022年6月12日更新)Image credit
Mike Kemp/Getty Images
連絡する
Cochrane Editorial and Methods Department (emd@cochrane.org)