2020年7月22日に出版され、その後、継続的に更新されている。最終更新は2022年2月2日(変更点は以下に詳述)。この特集号に収録されているすべてのレビューは無料で閲覧できます。
この特集号はCOVID-19特集の1つである。また、簡体字中国語、繁体字中国語、ドイツ語、ペルシャ語、フランス語、日本語、韓国語、マレー語、ポーランド語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語でも閲覧できます。
多くの医療従事者がCOVID-19パンデミックの最前線で救急医療やクリティカルケアを提供している。一方、その他の医療従事者は病院、診療所、オフィス、地域、家庭などで、医療システムの幅広いサービスを提供し続けている。困難でストレスの多い状況下で働くことがしばらく続くと、職業性ストレスやシフトワーク(交代勤務)などの既存のリスク要因を悪化させる。医療従事者のウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態であること)を支援することは、現在の危機の中で、またその後において、私たちの医療システムを維持するために非常に重要である。
この特集では、医療従事者のウェルビーイングを支援し、職業性ストレスを軽減するための介入に関するコクランのエビデンスをまとめている。
これらのレビューは、3つのネットワークにおけるコクランレビューグループにより作成しています(コクラン メンタルヘルスおよび神経科学、コクラン筋骨格系および口腔、皮膚、感覚器、コクラン公衆衛生および医療システム)。この特集に掲載しているいくつかレビューは、コクラン臨床回答に関連している。
本特集に掲載されているレビューはエビデンスをまとめたものであり、レビューされた介入が有効であることを意味するものではないことに留意が必要である。
2022年2月2日更新 レビュー「医学生および若手医師の精神的健康状態(ウェルビーイング)を向上させるためのマインドフルネスに基づく心理的介入」にコクラン臨床回答を追加しました。
職業性ストレスに対する介入
疾病の発生、流行、パンデミック下とその後の健康とソーシャルケアの最前線にいる専門家の回復力と精神的健康をサポートするための介入:ミクストメソッド・システマティック・レビュー
疾病の流行のエビデンスによると、医療従事者は短期的および長期的なメンタルヘルス問題を発症するリスクがあることが示されている。世界保健機関(WHO)は、COVID-19の危機が、医療・社会ケアの専門家の精神的なウェルビーイングに及ぼす潜在的な負の影響について警告している。メンタルヘルス問題の症状は、一般的にうつ病、不安、ストレス、および追加の認知的および社会的問題が含まれている。これらは、職場での機能に影響を与える可能性がある。このレビューの目的は、疾病の発生、疫病、パンデミックの発生時および発生後に、第一線で活躍する医療・ソーシャルケア専門家の回復力とメンタルヘルスを支援する介入の効果を評価し、これらを実施する上での障壁や促進要因を特定することである。関連するコクラン臨床回答:疾病の発生、流行、パンデミックの際、およびその後に、最前線の医療・社会福祉の専門家を支援するための介入策の実施に影響を与えるのは、どのような介入、組織、個人の特性か?
医療従事者のレジリエンス(精神的回復力)を促進するための心理的介入
レジリエンスとは、トラウマになる可能性のある出来事や、人生の困難な状況、重要な転換期、身体的な疾患などによるストレスを受けている間やその後における、メンタルヘルス(精神的健康)の維持または迅速な回復と定義できる。医療従事者は仕事に関連した様々なストレス要因にさらされており、精神疾患を発症するリスクが高い。このレビューでは、医療やヘルスケアを提供する医療従事者のレジリエンスを促進するための介入について、評価を行っている。関連するコクラン臨床回答:心理的介入は、医療従事者のレジリエンス(精神的回復力)の促進に役立つのか?医療系学生のレジリエンス(精神的回復力)を促進するための心理的介入
医学生および若手医師の精神的健康状態(ウェルビーイング)を向上させるためのマインドフルネスに基づく心理的介入
心の健康を改善するためのアプローチとして、マインドフルネスに基づく介入がますます注目されている。メンタルヘルス不調のリスクが高い医学生や若手医師に対する予防的メカニズムとしてのマインドフルネス介入の有効性については疑問が残る。このレビューでは、マインドフルネスに主眼を置いた心理的介入が、この集団の精神的健康状態(ウェルビーイング)と学力に及ぼす影響を評価している。関連するコクラン臨床回答:医学生および若手医師へのマインドフルネスに基づく心理的介入の効果は?
労働者のストレスの予防と軽減のためのコンピューターベースと対面による介入の比較
対面およびコンピュータベース(ウェブまたはモバイル)によるストレスマネジメントの介入は、介入しない場合と比較して、労働者のストレスを軽減するのに有効であることが示されている。コンピュータベースの介入は、よりアクセスがしやすく、便利で、費用対効果が高い可能性がある。このレビューは、労働者のストレスの予防と軽減において、コンピューターによる介入と対面での介入の効果を比較することを目的とした。関連するコクラン臨床回答:従業員にとって、コンピュータを使ったストレス管理プログラムは、対面式のプログラムと比べてどうか?従業員の健康とウェルビーイングを向上するための、管理者に対する人材マネジメント研修
身体の安全と作業能力に対する介入
健常就労者における筋骨格系症状および障害予防のための休憩スケジュール
シフト勤務による勤務中の眠気や睡眠障害に対する、個人向けの非薬物療法的介入
謝辞
この特集号は、Miranda Cumpston(編集者、コクラン公衆衛生)が、Monaz Mehta(編集者、コクラン編集・方法部門)、Katherine Jones(NIHRネットワークサポートフェロー、コクランメンタルヘルスおよび神経科学)と共同で開発した。コクラン発達、心理社会的および学習の問題、コクラン公衆衛生、コクラン皮膚、コクラン傷害、と、グラスゴー・カレドニアン大学のAlex PollockとMargaret Maxwellがレビューの選定に関わった。
翻訳
この特集号の日本語版は、瀬戸屋希が翻訳し、阪野正大が監訳した。(2020年7月26日翻訳、2022年2月6日更新)
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ゲッティ イメージズ/ヒューズ
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Cochrane Editorial and Methods Department (emd@cochrane.org)